【英検】準1級合格者の「精読」具体的な使用教材と対策方法

こちらの記事の続きです。

数年前、私自身も英検準1級を受検し合格しました。その経験をもとに、どの教材をどのように使い、2級レベルの生徒を準1級合格に導くか、研究を重ねてきました。

4技能の中でも、特に優先度が高いものがあります。それを量、質、配分、間違えることなく積み重ねていかなくては、忙しくて時間のない高校生が準1級に合格するのは相当難しい。これが私の結論です。

また、毎日たくさんの生徒を指導を行い、勉強方法を間違えるとやっていても効果的に英語力が身につかない勉強方法があることに気が付きました。そこで、今回は「精読」と「英作文」にフォーカスして、結果を出すためにやるべき正しい勉強方法を書いていきます。これを読んだ生徒が一人でも多く英検に合格することを祈って。


一番大事なのはリーディング

英語の勉強をする時に最も大事なことは、目的を決めることです。論文を読めるようになるため、日常会話ができるようになるため、海外の就活エントリー用紙を書けるようになるため、同じ英語でもすべて「形式」や「口調」や「語彙」が違います。

これは日本語でも同じです。場所、人、立場、属性、目的によって使う「言葉」が変わります。では、英検準1級や大学入試に向けて必要な英語力とは何でしょうか。

それは「最低限、論文が読めるレベルのリーティング力」です。

いやいや、ライティングも、リスニングも、スピーキングもあるじゃないですか。そう思いますね。しかし、それらはすべて「リーティング力」すなわち、語彙や文法という土台に基づく正確な読解力が前提です。知ってる単語数が少ない、文法が曖昧なままでは意味がありません。それでは、どんなに耳を鍛えてもただ聴こえるだけ、どんなに文章力を磨いても稚拙な文字の羅列、どんなに話せるようにしても簡単な語彙の列挙にとどまります。すべてはリーディングが土台です。単語・語法・イディオムを高速で頭に叩き込み、英語で文章を読みましょう。

とは言っても、それらを知っているからと言って読めるようになるわけではないため、「精読」の学習とは何をやるべきかを明示します。

精読を阻む3枚の壁

ここで言う精読とは、文章を正しく読めるようになるという意味です。そんなの当たり前だよ、と思うかもしれませんが、正しく読むためには乗り越えなくてはいけない壁がいくつかあります。

❶語彙量の壁
言葉の通り。語彙の量が英語力と言っても過言ではないくらい大事。詳しくは前のブログを参照。

❷文法の壁
文法のルールではなく概念の理解。例えば、不定詞(形容詞的用法)や分詞、関係詞はただの「形容詞」で名詞を修飾する役割、など。

❸解釈の壁
単語を一義ではなくイメージで捉え、直訳ではなく、文脈に合わせて柔軟に理解することができる。

上記の❶❷は知識の詰め込みでなんとかなります。勉強ができるかどうかではなく、作業の総量で決まります。

❸に関しては

「こういう時、こうやって訳すのか!」

「英語らしい言い回しにするとこうなるのか!」

という感覚的な積み重ねが重要です。山口周さん的に言うなら、センスの領域です。ただし、これは参考書によって身につけることができます。それだけ大学入試や英検のために販売されている市販の参考書は優秀ということです。質が高い1冊を1つずつ完璧にしていきましょう。

精読力のセンスを磨く参考書

初学者におすすめなのは、1文単位の英文解釈の練習ができるこちら。『大学入試 肘井学の 読解のための英文法が面白いほどわかる本 必修編』です。

文法がある程度入ってきた人はぜひやってみてください。そしてこれが完成した人はレベルを上げて難関大編にいってもいいですが、私がおすすめするのはこちらです。

ものによっては1段落分くらいの英文解釈を行います。

これら全てに共通するのは、SVOCを振って修飾関係や構造を明確にしたうえで、正確に和訳する練習ができる参考書という点です。面倒くさい、量をこなせばいいだろ、という超感覚タイプの天才マイノリティーを除き、精読力をつけるためにはこれが最適解です。地道な努力なくして、精読できるようにはなりません。

その他にも

『入門英文問題精講』
『英文熟考 上下』
『基礎英文問題精講』
『英文解釈クラシック』
『ポレポレ英文読解のプロセス50』
『英文解釈のテオリア』

など、挙げだしたらきりがないくらいたくさんの良書があります。しかしここで大事なのは、❸解釈の壁(単語を一義ではなくイメージで捉え、直訳ではなく、文脈に合わせて柔軟に理解することができる。)を乗り越えるためのエッセンスを最短で獲得することにあります。したがって、どの参考書を使うのが最適かは人によって異なります。どれも良いものばかりなので、ぜひ書店に行って選んでみてください。

精読の目的と学習効率化

精読は、文章を正しく読むことと記述しました。ただ、なぜわざわざSVOCを振ったり、面倒な構造分析を行うのか。結論、自分の弱点を自分自身で見抜き、乗り越えるために絶対に必要だからです。

ここで話を英検に戻します。準1級に出てくる文法問題や長文問題は、知識がないとそもそも太刀打ちができないものも多い反面、文章の構造や構成がわかれば推論によって選択肢を絞ったり、解答の根拠を見つけることができるようになっています。

高校生は忙しいです。準1級に出てくる単語をすべて覚えてから試験に臨もうとしたらあっという間に時間が過ぎます。勉強効率の話に飛躍しますが、1の学習に対して1の成果ではだめなのです。それを10にも、100にも、1000にもするのが工夫であり、精読に必要なSVOCのふりわけや構造分析というのは、その工夫の一環です。

文章を俯瞰的に見ることができれば、解説の理解度を限りなく100%に近づけることができますし、理解にかかる時間も大幅に短縮できます。自分が気づいていないだけで、小さな時間のロスや無駄な労力がかかり、勉強効率を下げています。それを、習得してからその先ほぼ永続的に防止してくれるのが精読力なのです。大げさに聞こえるかもしれませんが、それだけ大事ということが伝われば幸いです。

熱量のこもった大作となってしまいましたが、ここには表層的な、小手先のテクニックではなく、本質を書き記しました。これを読んだ生徒が、自分なりに解釈し、自身の学習に反映することを期待し筆を置きます。

次は英作文について書きますので、どうぞお楽しみに👍️


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この記事を書いた人

二神大輝